司法書士戸嶋寛人事務所 > 記事コンテンツ > 不動産売買における所有権移転登記手続きの流れを解説
所有権移転登記は、土地や建物の売買が発生した際に必ず必要になる手続きです。
しかし、書類の用意など何から始めたらいいか分からない方も多いと思います。
本記事では、所有権移転登記手続きの流れについて解説します。
まず不動産登記とは、土地や建物の所有者が誰であるかを広く一般に公開し、取引の透明性を確保するための制度です。
この制度によって、不動産の所有権や権利関係が明らかになり、不動産取引の安全性が向上します。
所有権移転登記とは、売買や相続などを理由に現在の所有者から新しい所有者へ登記の名義を変更する手続きのことを指します。
なお、売買契約が成立しただけでは当該物件や土地の所有権を第三者に主張・証明することができません。
所有権移転登記手続きを完了して初めて、第三者への対抗要件になり得るため、不動産取引において不動産移転登記は非常に重要な手続きといえます。
所有権移転登記は、大きく分けて以下4つのステップに分かれます。
所有権移転登記を行うためには、必要な書類を準備しなければなりません。
この手続きは司法書士に依頼する方が多いですが、自分で申請することも可能です。
ただし、書類に不備があると手続きが遅れ申請が却下される可能性があるため、事前の法務局での相談をおすすめします。
所有権移転登記の申請に必要な書類は移転の理由によって異なりますが、一般的には以下の書類が求められます。
■売主が準備する書類
・登記済権利証または登記識別情報
・印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
・固定資産評価証明書、売買契約書の写し
■買主が準備する書類
・不動産登記申請書
・登記原因証明情報(売買契約書など)
・登録免許税(収入印紙)
■売主、買主に共通して必要な書類
・住民票
・委任状(代理人が申請する場合)
また、金融機関を通じて住宅ローンを利用する場合、金融機関から求められる追加書類があるため事前の確認が大切です。
必要な書類を揃えたら、不動産を管轄する法務局に申請を行います。
申請方法は以下の3つの方法から選べます。
オンライン申請は便利ですが、電子証明書の取得などの事前準備が必要になるため、利用前に調べておくことをおすすめします。
不動産売買による移転登記の費用は以下の2つです。
司法書士に依頼すると報酬が発生しますが、煩雑な手続きを省略できるメリットがあります。
土地や建物の所有権移転登記の際、国に納める税金が登録免許税です。
土地、建物のそれぞれに課税されます。
不動産売買の場合、固定資産評価額の2%となります。
ただし、法律により軽減税率などが適用されるケースもあるので、専門家に相談することがおすすめです。
印鑑証明や住民票などを取得する費用は数百円で済みますが、登記を司法書士に依頼した場合、数万円の依頼料が発生します。
ただ、多くの方は時間を短縮するために登記の専門家である司法書士に依頼する方が多いです。
法務局に申請が受理されると、登記官による審査が行われます。
審査の主なポイントは以下の通りです。
書類に不備がある場合は、法務局から訂正や追加書類の提出を求められることがあります。
そのため、申請前に法務局で書類の事前確認を受けておくと安心です。
審査期間は通常1~2週間ほどですが、混雑状況や繁忙期、書類の内容によっては長くかかる場合もあります。
登記審査が終了すると所有権移転登記が正式に完了し、新しい情報が登記簿に記載されます。
登記完了後、法務局から以下の書類が発行されます。
これらの書類は、法務局の窓口で直接受け取ることも、郵送で受け取ることも可能です。
窓口で受領する場合は、申請書に押印した印鑑が必要なので、忘れずに持参してください。
土地や建物の売買は高額な取引となるため、トラブルを避けて手続きを進めることが非常に大切です。
手続きに不安がある場合は、司法書士に依頼することも検討してみてください。
専門家により手続きを行うことで、トラブルを未然に防ぎ安心して新しい不動産の所有権を取得できます。